今回はドイツ語の6種類の時制をおさらいしよう。
ドイツ語の時制は、現在・過去・現在完了・過去完了・未来・未来完了の6つだ。
動詞の語形の変化や他の単語と組み合わせることによって表現する。
今回はそれぞれの作り方を整理しよう。
またこの記事では、時制と関連の深い動詞の3つのフォームと受動態や命令形といった他の文のスタイルについてもまとめて解説するぞ。
目次
時制とは?
時制 Zeitform
言語の文法において、時の概念をあらわすもの。
多くの言語において(ドイツ語・英語・日本語においても)動詞の語形が変化することによって表現される。
時制は一般的な時間の概念と同様に、過去・現在・未来の3つに分けて考えることができる。
なお、古代の言語においては、時制は時間よりも動作の行われ方をあらわすものであった。
定形第2位の原則と枠構造
時制とその作り方を説明する上で、この2つの用語は頭に入れておきたい。
どちらももっとも重要なドイツ語文法の原則だ。
定形第2位の原則
イツ語では、原則的に動詞は2番目のポジションに配置され、このルールを定形第2位の原則と呼ぶ。
2番めのポジションというのは、2つ目の単語ではなく、文を文節ごとに分割したときに2番めに当たる文節ということだ。
例えばこの文、
Ab Morgen gehe ich zur Arbeit.
“Ab Morgen“と”zur Arbeit“がひとつの文節なので、文は以下のように分割できる。
Ab Morgen | gehe | ich | zur Arbeit.
この文で2つの目のポジションにあるのは動詞のgehenだ!
これが定形第2位の原則だ。
枠構造
助動詞+動詞、haben+動詞のような文では、動詞は2番目のポジションと文末に配置される。
2番目のポジションと文末で他の単語を挟み込むような文の構造になる。
これがドイツ語の枠構造だ!
例を紹介しよう。
Wir möchten bis zum nächsten Jahr viel Geld sparen. 私達は来年までにたくさんのお金を貯めたい。
この文では、möchtenとsparenが枠構造を作っている。
動詞の主な3つのフォーム
それぞれの時制を見ていく前にもうひとつ確認しておきたいことがある。
動詞には主に不定詞 Infinitiv・過去形 Präteritum・過去分詞 Perfektという3つのフォームがあるということだ。
規則的な変化をする動詞lernenを例にすると、
不定詞 → lernen
過去形 → lernten
過去分詞 → gelernt
となる。
よく使われる動詞ほど不規則な変化をすることが多い。
特に過去分詞のスタイルは、実践でよく使うので頑張って覚えよう!
動詞の主な3つのフォーム
現在形 Präsens
現在形はドイツ語のスタンダードなフォームだ。
現在形の文の作り方
現在形の文では、主語によって動詞の不定詞を活用(語尾変化)する。
Ich heiße Thomas. 私はトーマスです。
Er heißt Thomas. 彼はトーマスです。
動詞の活用は「エ・スト・テン・テン」で覚えよう。
こちらの記事で動詞の活用について解説しているぞ!
過去のことを表現する時制
過去形 Präteritum
現在完了形 Perfekt
過去完了形 Plusquamperfekt
ドイツ語には、過去のことを表現する時制が3つある。それが過去形・現在完了形・過去完了形の3つだ。
過去形と現在完了形はどちらも過去のことを表現する際に使う。
両者には内容的な違いはなく、主に”話し言葉“か”書き言葉“の違いによって使い分けられる。
過去形と現在完了形の使い分けについてはこちらの記事で詳しく解説しているぞ!
過去形の文の作り方
過去形の文の作り方は簡単で、動詞を過去形に変えるだけだ。
Sie sang ein Lied. 彼女は歌を歌った。
Wir bauten ein Vogelhaus. 私達は鳥小屋を作った。
過去形についてはこの記事を読もう!
現在完了形の文の作り方
ドイツ語の現在完了形は、sein/haben+過去分詞で作る。
動詞によってseinを使うか、habenを使うかが決まっている。
Ich bin aus Deutschland gekommen. 私はドイツから来ました。
Du hast einen riesigen Kuchen gegessen. 君は大きなケーキを食べた。
現在完了形についてはこの記事を読もう!
過去完了形の文の作り方
過去完了形は、過去の事象のうちで現在までの継続性がないものを表現する際に使われる。
Sie war in den letzten 5 Jahren in einer anderen Firma beschäftigt. 彼女は過去5年間他の会社で働いていた。
Früher hatte sie als Lehrerin gearbeitet. 彼女は昔先生として働いていた。
未来の事を表現する時制
未来形 Futur 1
未来完了形 Futur 2
ドイツ語で未来のことについて述べる時制は、未来形と未来完了形の2つだ。
ひょっとすると読者の中には「ドイツ語には未来形は無い」といったことを習った人もいるかもしれない。
それはドイツ語の未来形のフォームwerden+不定詞は、推量や願望の意味で使われることが多く、どういった意図で話者がその表現を使ったのか、厳密に区別できないことが多いからだと思われる。
当サイトでは、ドイツ語の未来形・未来完了形は存在する。ただし、推量や願望の意味で使われることもあるというスタンスで解説する。
未来形の文の作り方
未来形の文は、werden+不定詞で作る。
Wir werden in Zukunft in China wohnen. 私達は将来中国に住む。
Ich werde auf jeden Fall ein Fußballspieler sein. 僕は絶対にサッカー選手になる。
未来完了形の作り方
未来完了形はあまりよく使われる表現ではないが覚えておこう。
未来完了形はwerden+過去分詞&sein/habenで作る。
Ich werde schon am Flughafen angekommen sein. 私はすでに空港に到着しているだろう。
Er wird morgen die Präsentation vorbereitet haben. 彼は明日にはプレゼンテーションの準備を終えているだろう。
未来形・未来完了形についてさらに知りたい人はこちらの記事をどうぞ!
現在進行形は?
ドイツ語には現在進行形はない。
英語に慣れている人にはとっては不思議なことだけど、”~している”と”~する”は区別しなくても特に困らない。
特に今「~をしている」ということを強調したい場合は、jetztやgeradeなどの副詞を組み合わせ表現する。
Was machst du jetzt? 今、何してる?
Ich bin gerade dabei! 今まさにそれをやっているよ
英語の”I will be waiting for you.”のような未来進行形の文は、ドイツ語では通常の未来形で表現する。
受動態
受動態 Passiv
受動態には、通常の受動態と状態受動の2種類がある。
それぞれに6つの時制があるので、計12のスタイルがある。
ドイツ語の受動態はwerdenを使うという部分で未来形と似ているが両者を混同しないように気を付けよう!
受動態に関してはこちらの記事をどうぞ!
命令形
命令形 Imperativ
命令形は、その名のとおり人に指示を出す際に使う。
ドイツ語では助動詞のkönnenを使って何かを頼むこともできる。
なお、命令形には過去や未来のスタイルはない。
命令形について関してはこちらの記事をどうぞ!
接続法
接続法1式 Konjunktiv 1
接続法2式 Konjunktiv 2
接続法は、”接続”とはいっても文を接続するのに使うのではない。
第1式と第2式でそれぞれ違った使われ方をする。
接続法1式についてはこちらの記事をどうぞ!
接続法2式についてはこちらの記事をどうぞ!
また、ドイツ語で使われる文法用語の全般を確認したい人はこちらの記事をどうぞ!