今回はドイツ語の現在完了形を勉強していこう。
ドイツ語において過去の出来事をあらわす時制には現在完了形と過去形がある。この2つの時制のうち実生活でよく使われるのは現在完了形!
この記事では、現在完了形の作り方から過去形との細かな使い分けまで解説していきたいと思う。英語の現在完了形とは文の作り方も使われる場面も異なるので注意しよう!
では、見ていこう!
目次
現在完了形とは?
現在完了形 Perfekt
「現在完了形」はドイツ語の時制のひとつ。過去形とともに過去の出来事を表現する時制。
ドイツ語と英語では、現在完了形に対する捉え方は大きく異なる。英語においては現在完了形は”現在は継続していない”過去の出来事に対して使用する。ドイツ語では現在完了形と過去形はともに過去の出来事をあらわし、文の内容から両者を使い分けられることは少ない。
ドイツ語の過去形について勉強したい人はこちらの記事をどうぞ!
現在完了文の作り方
現在完了形の文の作り方を見ていこう。
ドイツ語の現在完了文は動詞を以下のように変化させることによって作る。
sein/haben + 動詞の過去分詞
ドイツ語では動詞によって「sein」を使う場合と「haben」を使う場合がある。過去分詞(PartizipⅡ)は動詞のスタイルのひとつ。動詞の語頭に-geを付けたり、語尾を-tに変化させることによって作る。
sein/habenは文の2番めのポジションへ過去分詞は動詞の末に配置する。例文を使って確認しよう。
habenを使う動詞の例
Ich habe meine Hausaufgaben gemacht.
宿題をやったよ。
seinを使う動詞の例
Ich bin in den Supermarkt gegangen.
スーパーに行ってきた。
過去分詞の作り方
過去分詞の作り方には5つのパターンがある。ひとつひとつのパターンを見ていこう。
なお、過去分詞は文の主語による語尾変化は起きない。文の主語がichであっても、duであっても過去分詞はそのままで使われる。
動詞には過去分詞(Partizip Ⅱ)とは別に現在分詞(Partizip Ⅰ)という形も存在する。現在分詞について知りたい人はこちらの記事をどうぞ!
ge-を付けるパターン
動詞の語頭にge-が付くパターン。
来る | kommen | gekommen |
あげる | geben | gegeben |
読む | lesen | gelesen |
ge-を付け語尾が-tになるパターン
語頭にgeが付いたうえに、語尾がtに変化するパターン。
思う | denken | gedacht |
する | machen | gemacht |
遊ぶ | spielen | gespielt |
語尾のみ-tになるパターン
語頭は変化せずに語尾のみ変化するパターン。-ierenで終わる動詞にこのパターンが多い。
(大学で)勉強する | studieren | studiert |
予約する | reservieren | reserviert |
変化しないパターン
過去分詞になっても変化しない動詞もある。その際は文のhaben/seinから現在完了の文であることを理解する。
もらう | bekommen | bekommen |
受け取る | empfangen | empfangen |
母音の変化を伴うパターン
語頭や語尾の変化だけでなく、母音が変化するパターンもある。
始める | beginnen | begonnen |
書く | schreiben | geschrieben |
助ける | helfen | geholfen |
分離動詞の場合
「anmelden」「einladen」といった分離動詞の場合についても勉強しよう。
分離動詞から過去分詞を作る場合は、前綴りを取り除き、元の動詞を過去分詞にしてから前綴りをもう一度付ける。言い換えれば、前綴りと動詞の原型にgeが挟まる形となる。
動詞「einkaufen」の過去分詞の作り方
- 前綴りと動詞部分に分ける。
ein + kaufen - 動詞部分を過去分詞に変える。
ein + gekauft - 前綴りをもう一度付ける。
eingekauft
分離動詞の過去分詞の例
始める | anfangen | angefangen |
乗車する | einsteigen | eingestiegen |
帰ってくる | zurückkommen | zurückgekommen |
なお、分離動詞について勉強したい人はこちらのページをどうぞ!
seinを使う動詞とhabenを使う動詞
現在完了形の文を作る際には、seinを使う動詞とhabenを使う動詞がある。それらは動詞によってあらかじめ決まっている。
seinを使う動詞
seinを取る動詞は、動詞の意味によって次の3つのパターンに分類できる。
- 場所の移動を伴う動詞
(例) gehen, kommen, fahren, fliegen, steigen - 状態の変化を伴う動詞
(例) werden, aufstehen, schlafen, wachsen - その他の動詞
(例) sein, bleiben, passieren
これらの動詞は自動詞と呼ばれる動詞にあたる。
他動詞と自動詞の使い分けについて知りたい人はこちらの記事をどうぞ!
seinを使う動詞の例
例文を使ってseinを使う動詞を確認しよう。
Mein Baby ist schnell gewachsen.
僕の赤ん坊は早く大きくなった。
Er ist nicht zu spät gekommen.
彼が来るのは遅すぎではなかった。
Wir sind zu Hause geblieben.
僕たちは家に残った。
なお、seinは以下の表のように人称変化する。
ich | bin |
du | bist |
er/sie/es | ist |
wir | sind |
ihr | seid |
sie (複数) | sind |
Sie | ist |
habenを使う動詞
ドイツ語のほとんどの動詞は現在完了の文を作る際にhabenを使う。habenを使う動詞は、「なんらかの行動」をあらわす動詞であり、これらの動詞は他動詞と呼ばれる。
habenを使う動詞の例文
例文を使ってhabenを使う動詞を確認しよう。
Sie hat das nicht gesagt.
彼女はそれを言わなかった。
Hast du schon eingekauft?
もう買い物はした?
haveのみで現在完了形を作れる英語に慣れ親しんでいる人にとっては、habenとseinの使い分けはとてもわずらわしく感じるもの。しかし、この違いはドイツ語の考え方を理解するうえで重要なもの。
現在完了形と過去形
記事の冒頭でも述べたように、ドイツ語で過去の出来事を表現する場合は、現在完了形か過去形を使う。日常生活においては現在完了形を使うことのほうが圧倒的に多いので、過去形は覚える必要は無いと考える人もいる。
現在完了形と過去形は文の意味によって使い分けることは少なく、会話や文章の内容によって使い分けられる。詳しく見ていこう!
なお、ドイツ語の過去形について勉強したい人はこちらの記事をどうぞ!
話し言葉において
話し言葉において過去形を使うことは非常に少ない。
しかし、以下に挙げる動詞に対しては慣例的に話し言葉においても過去形のかたちで使われる。
haben, sein, wissen, heißen, finden, denken
なお、上記の動詞は現在完了形でも使われる。
書き言葉において
書き言葉においては過去形も使われるが、頻度や使い方は文の内容によって異なる。
- 文学的な文章(小説など)
物語が現在を舞台としている場合もフォームとして過去形を用いる。小説が現在形で書かれた場合を除き、物語では現在完了形は使われない。過去のことについて述べる際は過去完了形が使われる。 - ニュースや論文やレポート
過去形は過去に終了した、現在との関連性を持たないストーリーや事象を表現する際に用いられる。現在との関連を持つものについては現在完了形を用いる。
印象を変えるための使い分け
過去形で書かれた文章と現在完了形で書かれた文章では、文章が読者に与える印象が違う。若者向けのブログでは、読者に親近感を与えるためにあえて現在完了形を使うことがある。
ただし、ドイツ語の母国者においても厳密な使い分けは無く、文章のターゲットによって2つの時制を使い分けている。
- 過去形
格調高く、フォーマルなイメージ。 - 現在完了形
敷居が低く、フレンドリーなイメージ。
まとめ | ドイツ語の現在完了形
さて、今回はドイツ語の現在完了形について見てきた。少し長い記事となってしまったが最後まで読んでくれてありがとう!
現在完了形はドイツ語においては非常によく使われる時制。しっかりとマスターしておいてほしい!
- ドイツ語で過去のことを表現する時制には「過去形」と「現在完了形」がある。日常生活でよく使われるのは現在完了形である。
- 現在完了形の文は、文の2番目にhaben/sein、文末に動詞の過去分詞を使う。
過去分詞の作り方には5つのパターンがある。語頭にge-を付け、語尾が-tに変化するのが基本のパターンと考える。