ドイツ語の他動詞と自動詞を解説!3格・4格支配の動詞。

ドイツ語の他動詞と助動詞

今回はドイツ語の他動詞と自動詞について解説していきたいと思う。

ドイツ語の他動詞と自動詞は、ドイツ語の勉強を始めて間もない人には完全に理解するのは難しい。なぜなら、この動詞の2つのタイプを説明するにはドイツ語の「格」を理解する必要があるからだ。

しかし、他動詞と自動詞の考えかたはドイツ語の物事の捉え方を理解するうえで大きなヒントとなるものだ。ぜひともこの機会に一度、ドイツ語の動詞の持つ奥深さに触れてみてほしい。

他動詞・自動詞の捉え方は言語によって異なる。英語や日本語など他の言語の自動詞・他動詞について知りたい人は他のウェブページなどを参考にしてほしい。

他動詞とは?自動詞とは?

では、他動詞と自動詞について見ていこう!

他動詞 Transitives Verb

「他動詞」は4格の目的語と共に使う動詞。ただし、目的語は省略することができる。4格の目的語と共に3格の目的語も使える動詞もある。

他動詞を使った例文を見てみよう。

4格の目的語を持つ他動詞の例

この文では「mich」が4格の目的語にあたる。

Sie liebt mich.
彼女は私を愛している。

4格の目的語を省略した他動詞の例

この文には目的語は無いが、何を食べているか書き加えることもできる。jetztは副詞にあたる。

Ich esse jetzt.
今、食べてるところ。

4格の目的語と共に3格の目的語を持つ他動詞の例

この文では「ihm」が3格の目的語、「das Buch」が4格の目的語にあたる。

Ich schicke ihm das Buch.
私は彼に本を送ります。

自動詞 Intransitives Verb

「自動詞」は他動詞とは対象的に、4格の目的語とは共に使われない動詞。動詞によって2格や3格の目的語とは共に使うことができる。

また、自動詞は受動態にしたときに「es」を主語として使う。

自動詞を使った例文を見てみよう。

目的語と共に使わないパターン

「schlafen」はいずれの目的語とも共に使わない動詞だ。

Ich schlafe.
私は寝ます。

3格の目的語と共に使うパターン

「folgen」は3格の目的語とも共に使う動詞だ。

Er folgt dir.
彼はあなたを追っています。

自動詞は以下の5つのパターンに分類して考えることができる。

  • 目的語と共に使わない動詞
  • 3格の目的語と共に使う動詞
  • 2格の目的語と共に使う動詞
  • 前置詞格目的語と共に使う動詞
  • 副詞節と共に使う動詞

おもな動詞の分類

まずは、よく使われる動詞を以下に分類してみよう。

他動詞に分類される動詞

ドイツ語の動詞の多くは他動詞に分類される。

benutzen | erzählen | essen | fragen | geben | kaufen | lernen | machen | nehmen | schenken | suchen

自動詞に分類される動詞

自動詞に分類される動詞には以下のようなものがある。

folgen | gehen | kommen | leben | schlafen | wohnen

どちらとしても使用できる動詞

よく使われる動詞には、他動詞としても自動詞としても使われる動詞が多い。

beginnen | fahren | hören | kochen | spielen | treffen

他動詞と自動詞で別の単語になる動詞

ここでは、意味は同じだが他動詞と自動詞で、別の単語になる動詞を挙げてみた。

stellen 置く(他) / stehen 置いてある(自)

Ich stelle die Vase auf den Tisch.
花瓶を机のうえに置く。
Die Vase steht auf dem Tisch.
花瓶は机のうえに置かれている。

legen 横たえる(他) / liegen 横たわっている(自)

Ich lege das Buch in das Regal.
本を棚のうえに置く。
Das Buch liegt im Regal.
本は棚のうえに置かれている。

setzen 座らせる(他) / sitzen 座っている(自)

Er setzt die Kunde in den Stuhl.
彼はお客さんを椅子に座らせた。
Die Kunde sitzt im Stuhl.
お客さんは椅子に座っている。

他動詞と自動詞の見分け方

辞書などを使わずにドイツ語の他動詞と自動詞を明確に区別する方法は残念ながら無い。ただし、それらを分類するうえで目安になる考え方はある。

ここでは、他動詞と自動詞を見分ける方法について考えてみよう。

動詞の意味から考える

動詞の意味から他動詞と自動詞を区別してみよう。動詞の意味によって、おおよそ以下のように分類することができる。

  • なんらかの行動を意味する動詞 ➡ 他動詞

    schreiben 書く | anrufen 電話する | einladen 招待する | kaufen 買う
  • 状態や移動を意味する動詞 ➡ 自動詞

    kommen 来る | wohnen 住んでいる

動詞の前綴りから見分ける

動詞の前綴りも他動詞と自動詞を見分ける際のヒントとなる。以下の前綴りを持つ動詞は高い確率で他動詞となる。

  • -be

    bewerben 応募する | bezahlen 支払う | bemerken 気づく | bedeuten 意味する
  • -er

    erledigen 済ませる | erleben 経験する | erzählen 語る

まとめ| ドイツ語の他動詞と自動詞を解説

さて、今回はドイツ語の他動詞と自動詞について解説をしてきた!

まとめ
  1. 他動詞と自動詞の違いは、4格の目的語と共に使うことができるかどうかにある。
  2. 基本動詞の中には、自動詞としても他動詞としても使える動詞がある。
  3. 自動詞の受動文は主語を持たない。この場合は動詞の位置を2番目にするために穴埋めの「es」を使う。

他動詞と自動詞は数あるドイツ語の難所の中でも、特に訳がわからなくなりやすいテーマ。頭が痛くなるまで考えてもわからない時は、考えるのを止めて他のテーマを勉強しよう!

他動詞と自動詞は、現在完了形の文や受動文の作り方にも関係してくるテーマ。興味のある人はこちらの記事も読んでほしい!

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ABOUTこの記事をかいた人

ベルリンに住むドイツ語研究が趣味のお兄さん。2009年よりベルリンに住むベルリナー、本当は名古屋出身。 通算で2年ほどドイツ語学校に通い、上級レベルにあたるドイツ語C1試験に合格済み。2年6か月の職業訓練(Ausbildung)を終えたのち、ドイツ企業で医療系ソフトウェアの開発に従事する。