ドイツ語の前置詞の一覧!格支配と融合形も確認。

ドイツ語の前置詞

今回はドイツ語の前置詞がテーマだ!

前置詞は名詞や代名詞の前に配置して、時間や場所などの意味を補助する単語。ドイツ語では、aufやüberなどがそれにあたる。

前置詞は地味な存在で覚えるのが面倒だけど、ドイツ語においては「文法の要」とも呼べる重要な役割を担う存在。一度、覚えてしまえば、君のドイツ語能力を確実に底上げしてくれるはずだ!

なお、前置詞は大きなテーマなので3つに分けて記事を書いた。この記事はその中でもまとめにあたる記事だ。

▶ 関連記事: 図解で分かる!場所や方向を表す前置詞。
▶ 関連記事: 使い分けを確認!日にちや時間に使う前置詞。

前置詞の一覧と格支配

次にドイツ語の前置詞を一覧で確認しよう。

ドイツ語の前置詞は、結びつく格によって以下の4つに分類する事ができる。使う前置詞によって名詞の格が変化することを格支配と言う。

  • 3格か4格を取る前置詞 (Wechselpräposition)

    an | auf | hinter | in | neben | über | unter | vor | zwischen
  • 3格を取る前置詞

    ab | aus | außer | bei | dank | entgegen | gegenüber | gemäß | mit | nach | seit | von | zu | zufolge
  • 4格を取る前置詞

    bis | durch | entlang | für | gegen | ohne | um | wider
  • 2格を取る前置詞

    angesichts | anhand | anlässlich | statt | anstelle | aufgrund | außerhalb | bezüglich | halber | infolge | innerhalb | laut | mithilfe | oberhalb | trotz | unterhalb | unweit | während | wegen | zugunsten

ここでは前置詞の総数が分かるように、中級以降で習う前置詞も掲載した。初級で覚えておきたい前置詞は太字で書いたので、まずはそこから覚えていこう!

ドイツ語の前置詞の分類

ドイツ語の前置詞は以下のように目的別に分類して考えるようにしよう。

  • 場所や方向をあらわす前置詞 
    典型的な例: an, auf, hinter, in
    ⇨ このパターンの前置詞はこちらの記事で解説。
  • 日にちや時間と共に使う前置詞 
    典型的な例: an, in, um, vor
    ⇨ このパターンの前置詞はこちらの記事で解説。
  • どのようにかをあらわす前置詞
    mit, ohne, gegen
    ⇨ このパターンはこの記事で解説。
  • 原因や結果をあらわす前置詞
    典型的な例: wegen, dank, laut, infolge
    ⇨ このパターンの前置詞は中級以降で習う。
動詞とセットで使う前置詞

ドイツ語では、動詞と前置詞がセットとなり特定の意味で使われることが多くある。この場合は上記の4パターンとは切り離して考えるようにしよう。

前置詞の使い方

では、ドイツ語の前置詞が文の中でどのように使われるのか例文を使って説明していこう。

3格を取る前置詞の例

ここでは3格を取る前置詞mitを例にして、前置詞の使い方を説明しよう。

まずは次の文を読んでほしい。

Ich schreibe einen Brief.
私は手紙を書きます。

この文に「鉛筆を使って」という意味を付け加えたい場合、mitと鉛筆を意味するStiftを合わせて使う。ただし、それだけではドイツ語として不十分!

ドイツ語では名詞の前に定冠詞(der, die, das…)か不定冠詞(ein, eine…)を配置する。ここではStiftは特定の鉛筆を指している訳では無いので不定冠詞を使う。

定冠詞と不定冠詞の使い分けについてはこちらの記事を参考に。
▶ 関連記事: ドイツ語の定冠詞と不定冠詞。適切な使い分け!

1格2格3格4格
男性eineineseinemeinen
女性eineeinereinereine
中性eineineseinem ein

mitは3格を取る前置詞でStiftは男性名詞なので、上の表で見ると「einem」を使うことが分かる。これで「鉛筆を使って」は「mit einem Stift」となることが分かる!

この「mit einem Stift」を目的語にあたる「einen Brief」の前に配置すると文は完成する。

Ich schreibe mit einem Stift einen Brief.
私は鉛筆を使って手紙を書く。

4格を取る前置詞の例

次に4格を取る前置詞ohneを使った例も紹介しよう。3格を取る場合と文の作り方は同じだ。

Ich schreibe einen Brief.
私は手紙を書きます。

この文に「鉛筆を使わずに」という意味を付け加えよう。今回はohneとStiftを組み合わせる。ohneは4格を取る前置詞でStiftは男性名詞なので、先ほどの表で確認すると「einen」を使うことが分かる。

「ohne einen Stift」を目的語の前に配置すれば文章は完成だ!

Ich schreibe ohne einen Stift einen Brief.
私は鉛筆を使わずに手紙を書きます。

3格と4格の見分け方

前置詞の中には3格もしくは4格を取る前置詞があり、それらはドイツ語でWechselpräpositionと呼ばれる。ここではそれらの前置詞の使い分けをnebenを例にして確認しよう!

まずは次の文を見てほしい。

Er setzt sich neben mich.
彼は私の隣へ座った。 

この文の状況を頭に思い浮かべてほしい。彼は私の隣に「座った」という文なので彼は「座る」というアクションを行なったことが分かる。

このように動詞にアクションを伴う場合は4格を使う。nebenとichの4格にあたるmichを使い「neben mich」となる。

次に3格を取る場合の例を見てほしい。

Er sitzt neben mir.
彼は私の隣に座っている。

この文では、「彼」はすでに私の隣に座っている。言い換えればこの文は「座っている」という状態を表している

この場合はnebenは3格を取り「neben mir」となる。

前置詞と定冠詞の融合形

前置詞は特定の定冠詞と共に使う場合、融合した形を使い文字を省略することができる。前置詞と定冠詞の融合には以下のバリエーションがある。

  • an + dem ⇨ am
  • bei + dem ⇨ beim
  • in + dem ⇨ im
  • von + dem ⇨ vom
  • zu + dem ⇨ zum
  • zu + der ⇨ zur
  • an + das ⇨ ans
  • in + das ⇨ ins
  • auf + das ⇨ aufs
まとめ
  1. ドイツ語の前置詞には「3格か4格を取る」「3格を取る」「4格を取る」「2格を取る」の4つのパターンがある。
  2. 前置詞で修飾する内容はおもに「場所や方向」「日にちや時間」「どうのように」「原因と結果」の4種類。
  3. 3格か4格を取る前置詞(Wechselpräposition)は、その文の動詞を見て動作が伴うか伴わないかで3格と4格を使い分ける。

ABOUTこの記事をかいた人

ベルリンに住むドイツ語研究が趣味のお兄さん。2009年よりベルリンに住むベルリナー、本当は名古屋出身。 通算で2年ほどドイツ語学校に通い、上級レベルにあたるドイツ語C1試験に合格済み。2年6か月の職業訓練(Ausbildung)を終えたのち、ドイツ企業で医療系ソフトウェアの開発に従事する。