ドイツ語では、複数の単語を繋げて新しい単語を作ることができる。
これはドイツ語と英語の大きな違いでもある。僕らの使う日本語は複数の単語を組み合わせて新しい単語を作ることができるので、この点では日本語は英語よりもドイツ語に近いと言える。
なお、ドイツ語では複数の名詞を組み合わせるだけでなく、形容詞と名詞などといった異なる品詞間でも合成できることがある。
詳しく見ていこう!
目次
複合語(合成語)とは?
複合語 Kompositum
少なくとも2つのすでに存在する単語を組み合わせて作られる単語のこと。合成語という呼び方もされるが、言語学の定義では複合語は数種類ある合成語のうちのひとつとされる。
複合語の例
ドイツ語には数え切れないほどの複合語がある。ここでいくつか例をあげてみよう。
2つの単語が組み合わさる例
まずは2つの単語が組み合わさる例から。
- Familienname 苗字
➡ Familie 家族 + Name 名前
3つ以上の単語が組み合わさる例
次に3つ以上の単語が組み合わさる例を見ていこう。ドイツ語では、4つや5つの単語が組み合わさった複合語はそれほど苦労しなくても見つけることができる。
- Eingangstürschloss 入口のドアの鍵
➡ Eingang 入口 + Tür ドア + Schloss 鍵 - Baustelleneinrichtungsplan 建築現場の設置計画
➡ Bau 工事 + Stelle 場所 + Einrichtung 設備 + Plan 計画
複合語のルール
ドイツ語における複合語のルールを確認していこう。
複合語の性
ドイツ語の名詞には性別がある。
複合語では最後に来る単語を基礎語と呼び、基礎語の性を複合語の性として使用する。
「Familienname」を例に考えてみよう。
Familienname ➡ Familie(女性名詞) 家族 + Name(男性名詞) 名前
この場合、Nameが基礎語であり「Familienname」は男性名詞となる。
単語を繋げる際の変化
単語と単語を繋げる際に音が変化する、もしくは複数形になる単語がある。これらの変化は次の3つのパターンに分類できる。
- sまたはesを挟むパターン
- eを削除するパターン
- 複数形に変化するパターン
sまたはesを挟むパターン
sやesを挟むパターンの複合語がある。
- sを挟む例
Geburt 出生 + Tag 日 ➡ Geburtstag 誕生日 - esを挟む例
Jahr 年 + Zeit 時期 ➡ Jahreszeit 季節
ssで終わる単語にさらにsが着いてsが3つ並ぶこともある。
(例) Massschneider(カスタムサイズ)
これは日本語の「連濁」のようなもので、おもに発音のしやすくするために付ける音だと考えよう。
(例) 勉強 べんきょう + 机 つくえ➡ ”べんきょうづくえ”
eを削除するパターン
複合語となるとeが省略されるパターンもある。
Erde 地球 + Boden 地面 ➡ Erdboden 大地
複数形に変化するパターン
複合語になると片方の単語が複数形になるパターンもある。
- Kind 子供 + Lied 歌 ➡ Kinderlied 童謡
- Wort 単語 + Buch 本 ➡ Wörterbuch 辞書
他の品詞との複合語
ここまでは、複数の名詞を組み合わせた複合語を見てきた。しかし、複合語は形容詞や動詞との組み合わせから作られることもある。
複合語の組み合わせには以下のパターンがある。
- 形容詞 + 名詞
süß 甘い + Kartoffeln いも ➡ Süßkartoffel さつまいも - 動詞 + 名詞
essen 食べる + Zimmer 部屋 ➡ Esszimmer 食堂 - 名詞 + 形容詞
Erfolg 成功 + reich 豊富な ➡ erfolgreich 成功した - 形容詞 + 形容詞
dunkel 暗い + blau 青 ➡ dunkelblau 濃紺の
世界一長い単語
ギネスにも認定されている世界で一番長い単語はドイツ語の以下の単語。
Donaudampfschiffahrtselektrizitätenhauptbetriebswerkbauunterbeamtengesellschaft
ドナウ汽船電気事業本工場工事部門下級官吏組合
この単語の基礎語はGesellschaftなので、この単語はなにかの会社や団体のことを指していることは分かる。
まとめ | ドイツ語の複合語を知る
さて、今回はドイツ語の複合語について勉強してきた。
造語の作りやすさはドイツ語の大きな長所のひとつであり、厳格なドイツ語においては数少ない「遊べる」部分でもあるので、ぜひ身につけておこう!
- 複合語においては単語を分解した際に一番右側に来る単語を基礎語と呼び。複合語の性は基礎語の性を引き継ぐ。
- ドイツ語では、名詞や形容詞など異なる品詞間で複合語を作ることもある。
- 単語を組み合わせる際にsを挟むなどの変化を伴うこともある。これらについては法則性は無いので覚えなければいけない。
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