今回はドイツ語圏の国と呼ばれる、ドイツ・オーストリア・スイスの3カ国を紹介しよう。
この3国は経済的に豊かで福祉先進国としても有名だ。近年では日本人の移住先としても注目が高まっている。この記事では、おもにその国で使われるドイツ語にフォーカスしながら、この3国を紹介したいと思う。
なお、著者はドイツの首都ベルリンに10年ほど住んでいる。
また、妻がオーストリア出身なので、毎年クリスマスの時期にはオーストリアは訪問している。
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目次
ドイツ語圏の国
ドイツ語を公用語とする国は、ドイツ・オーストリア・スイス・ルクセンブルグ・リヒテンシュタイン・ベルギーの6カ国だが、一般的に”ドイツ語圏の国”という場合は、ドイツ・オーストリア・スイスの3国を指す。
この3国はヨーロッパと呼ばれる地域に位置する。ヨーロッパは西欧文化の発祥の地と言われ、面積はさほど大きくないものの数百年に渡って世界の経済や文化をリードしてきた。
ドイツ
まずはドイツ語圏の国の中で最大の人口を持つドイツから見ていこう。
ドイツの基本情報
正式名称 | ドイツ連邦共和国 |
首都 | ベルリン |
人口 | 8300万人 |
面積 | 36万平方km |
公用語 | ドイツ語 |
ドイツの概要
ドイツはヨーロッパのほぼ中心に位置する国で、フランスと並んで欧州連合のリーダーと呼べる存在。GDP(国民総生産)は日本に次ぐ4位で、高い生活水準と充実した社会保障を合わせ持つ先進国だ。
ドイツは国の面積や人口の規模が日本と比較的近い。また、ともに自動車産業が盛んな工業立国という共通点から両国は比較の対象にされることも多い。
ドイツで使われるドイツ語
ドイツ語にも他の言語と同じように地域ごとの方言がある。ドイツのニュース番組で使われるような標準のドイツ語を話す地域は少なく、首都のベルリンでさえ標準のドイツ語が使われている訳ではない。
ちなみにドイツの北部に位置するハノーファーで使われているドイツ語が、もっとも標準ドイツ語に近いとされている。
ドイツの南に位置するバイエルン州やオーストリアで使われているドイツ語はバイエルン・オーストリア語とも呼ばれ、発音だけでなく語彙も大きく異なる。この地域で使われているドイツ語は、方言というよりも別のドイツ語だと考えたほうがいいだろう。
また、ベルリンやハンブルグなど外国人や外国人二世が多い都市では、その人達の母国語に影響を受けた訛りやアクセントがあるので発音や語彙の多様性はさらに広がる。
移住先としてのドイツ
安定した経済と充実した社会保障を持つドイツは移住先として魅力的な国だ。
ビザの取得に関しては、アメリカやオーストラリアなどと較べれば簡単。また、日本との間にはワ-キングホリデー協定があるので、1年間ほど試しに住んでみることもできる。
国民性については日本人とよく似ていると書かれることもあるが、それほど似てはいない。ドイツは個人主義の考えが浸透しており、自分の意見をはっきりと主張できることが何よりも尊重される。また、接客においては日本のように「客の立場が上」という文化は無い。
オーストリア
次にドイツの南に位置する小さな国オーストリアを見てみよう。
オーストリアの基本情報
正式名称 | オーストリア共和国 |
首都 | ウィーン |
人口 | 880万人 |
面積 | 8万平方km |
公用語 | ドイツ語 |
オーストリアの概要
オーストリアはドイツの南に位置する小さな国。面積も人口もドイツのおよそ10分の1だ。しかし、20世紀の初めまでは広い国土面積を持つ、ヨーロッパの5強国のひとつだった。
ウィーン・ザルツブルグといった世界的に有名な観光地を有し、経済的には世界でトップ10に入るほど裕福な国でもある。国土の西部はアルプス山脈に位置しており、スイスとともにスキー大国でもある。また、オーストリアはモーツァルトの出身地でありクラシック音楽でも有名だ。
オーストリアで使われるドイツ語
オーストリアで使われている言語はドイツ語だが、別の言語「オーストリア語」と考えたほうがいいかもしれない。
文法はドイツ語であるものの発音は大きく異なる。特にアの音がオの音になったりと母音の音の違いが大きく、母音を重視する日本語の話者にとっては理解するのは非常に難しい。
なお、オーストリアでドイツ語学校に通う場合は、標準のドイツ語を習うことになる。
移住先としてのオーストリア
オーストリアは経済的に豊かな国で賃金も日本より高い。
労働環境も良くオーストリアではクリスマスにボーナスを与えることが法律により義務付けられている。
ビザの面ではドイツとほぼ同様にそれほど難しくはない。
2016年より日本とのワーキングホリデー協定国になっているうえに、日本人であればビザが無くとも6ヶ月まで滞在することができる。
オーストリア人の多くはドイツ人と同じゲルマン民族の出身だ。国民性もやはりドイツ人と近いものがある。オーストリアはカトリックの国で家族関係や仕事などにおいてキリスト教の価値観がドイツよりも色濃く見られる。
スイス
最後に自然に囲まれた美しい国スイスを見ていこう。
スイスの基本情報
正式名称 | スイス連邦 |
首都 | ベルン |
人口 | 800万人 |
面積 | 4万平方km |
公用語 | ドイツ語・フランス語・イタリア語・ロマンシュ語 |
スイスの概要
スイスはアルプス山脈に囲まれた小さな国だが、世界でもっとも裕福な国、また物価が高い国として有名だ。チューリッヒ・ジュネーブ・ローザンヌなど有名な都市を抱え、国際機関の本部も多く置かれている。スイスは永世中立国であり、EUには加盟していない。
日本では「アルプスの少女ハイジ」の舞台として有名。
ちなみにこのアニメはドイツ語圏の国でも放送されている。
スイスで使われるドイツ語
スイスには、ドイツ語・フランス語・イタリア語・ロマンシュ語の4つの公用語がある。ドイツ語を話す人の割合は60%以上で、4つの言語の中でもっとも多い。
しかし、スイスで話されているドイツ語は、スイスドイツ語と呼ばれ、標準ドイツ語とは別の言語だと考えるべき。
標準ドイツ語とスイスドイツ語の違いは、ドイツ語を母国語とするドイツ人ですら理解するのが困難なレベル。
著者もスイスドイツ語の動画などを見ても何を言ってるのかさっぱりわからない。
現地のドイツ語学校では標準のドイツ語を習うので、スイスドイツ語は生活の中で身につけていくしかない。
また、大都市では英語が通じると言われているが、あまりそうでも無いようだ。
移住先としてのスイス
裕福で自然が豊かなスイスはとても魅力的に見えるが、スイスはビザの取得条件が厳しく、また住居探しもスイス在住の保証人が必要となるので、海外赴任のケースを除き移住するのは難しい。
ドイツ語体験コース
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