ドイツ語の前綴りを分析する。よく使われる接頭辞の一覧!

ドイツ語の接頭辞

今回はドイツ語の接頭辞(前綴り)にフォーカスして勉強していこう!

もし、君がドイツ語学習者で大学入学に必要なC1のレベルを目指しているのであれば、膨大な量の語彙を身につける事は避けては通れない。そんな中「接頭辞」は単語を効率的に覚える助けとなる存在!

接頭辞にはおおよその意味がありそれをイメージできていれば、辞書を引かなくても単語の意味を推測することができるからだ。

では、見ていこう!

接頭辞(前綴り)とは?

接頭辞 (Präfix)前綴り(Vorsilbe) 

接頭辞は動詞・名詞・形容詞の語頭に付け、単語の意味を修飾したり、意味そのものを変化させたりする。

それぞれの接頭辞があらわす意味は抽象的で言葉で表現するのは難しいしかし、おおよその意味や使われ方の傾向は分類することができる。接頭辞の意味を知っていれば、新しい単語に出会ってもおおよその意味を推測することができる。

なお、ドイツ語にどういった前綴りがあるのか、どれがよく使われ、どういった動詞と結びつくのか知りたい人は、下の表を参考にしてほしい。

wikipedia 「Liste deutscher Präfixe」

ab

前綴り「ab」の持つ意味としては次のようなものを挙げることができる。

一部を切り離す

abnehmen痩せる
abwischen拭き取る
abrechnen差し引く

ある地点から離れる

abreisen旅行に行く
abfahren出発する
abholen受け取りに行く

中断・取り消しする

abbrechen中断する
abbuchenキャンセルする
absagenとりやめる
ablehnen断る

模倣する

abschreiben書き写す
abbilden模写する

an

前綴り「an」の持つ意味としては次のようなものを挙げることができる。

接近/接触する

anziehen着る
anfassen触る
ankommen到着する

相手に向かって動作を行う

ansprechen話しかける
anschauen見つめる
angreifen攻撃する

ein

前綴り「ein」の持つ意味としては次のようなものを挙げることができる。

外側から内側へ

einsteigen乗車する
einladen招待する
einstecken投げ込む

aus

前綴り「aus」の持つ意味としては次のようなものを挙げることができる。

内側から外側へ

aussteigen降車する
ausgehen外出する
aussprechen発音する

除外・除去する

ausschließen閉め出す
ausnehmen除外する
auspacken取り出す

終了する

auslesen読み終える
ausschaltenスイッチを切る
ausbrennen燃え尽きる

um

前綴り「um」の持つ意味としては次のようなものを挙げることができる。

転換する

umbauen改築する
umsteigen乗り換えする
umziehen引っ越す

回転する

umdrehen回転する
umkehren引き返す

einとaus

einとausはセットになって正反対の動作をあらわすことが多い。

  • einschalten スイッチを入れる ⇔ ausschalten スイッチを切る
  • einsteigen 乗車する ⇔  aussteigen 降車する
  • einchecken チェックインする ⇔ auschecken チェックアウトする
  • einreisen 入国する ⇔ ausreisen 出国する
  • eingeben 入力する ⇔ ausgeben 出力する

さらに前綴りをumに替えることによって、転換を意味する動詞になるものもある。

  • umschalten スイッチを切り替える
  • umsteigen 乗り換えする

über

前綴り「über」の持つ意味としては次のようなものを挙げることができる。

片側からもう一方へ

übergeben受け渡す
überweisen振り込む
überlassen 譲る

越える

überqueren横断する
überschreiten越える
übernachten宿泊する

過剰

überschätzen過大評価する
übertreiben誇張する
überfließenあふれ出る

unter

前綴り「unter」の持つ意味としては次のようなものを挙げることができる。

不足

unterschätzen過小評価する
unterliegen負ける
unterbietenせり負ける

中断

unterbrechen中断する
unterlassenやめる

auf

前綴り「auf」の持つ意味としては次のようなものを挙げることができる。

下から上へ

aufblicken見上げる
aufsteigen上昇する
aufgehen昇る

立てる

aufstellen立てる
aufbauen建てる
aufstehen起立する

開ける

aufmachen開ける
aufdrehenひねって開ける
aufbrechenこじ開ける

ent

前綴り「ent」の持つ意味としては次のようなものを挙げることができる。

切り離す

entbinden解放する
entfernen取り除く
entführen誘拐する

zer

前綴り「zer」は他の前綴りとは違い「破壊する」といった意味でのみ使われる。

破壊する

zerbrechen割る
zerfallen崩壊する
zerreißen引き裂く
zerstören破壊する

破壊する

ver

前綴り「ver」の持つ意味としては次のようなものを挙げることができる。

変化

vergrößern大きくする
verbessern改善する
verdoppeln倍増する

失敗

verschlafen寝坊する
verspäten遅刻する
vergessen忘れる

尽きる

verbrennen燃失する
verdauen消化する
verderben台無しにする

verと形容詞の組み合わせ

verは形容詞と組み合わせて動詞にできることがある。

  • ver + größ ⇒ vergrößern
  • 大きくする ver + spät ⇒ verspäten
  • 遅刻する ver + scharf ⇒ verschärfen
  • 鋭くする ver + besser ⇒ verbessern 良くする

er

前綴り「er」は次のようなかたちで使うことができる。

erと形容詞の組み合わせ

erもverと同様に形容詞と組み合わせて、動詞となることが多い。

  • er + möglich ⇒ ermöglichen 可能にする
  • er + leicht ⇒ erleitern 軽減する
  • er + weit ⇒ erweitern 軽減する

be

前綴り「be」は次のようなかたちで使うことができる。

beによる前置詞の省略

beを付けることによってほぼ同じ意味で前置詞を省略できる動詞もある。

  • antworten auf ⇒ beantworten 答える
  • sprechen über ⇒ besprechen 話す
  • arbeiten an ⇒ berarbeiten 処理する
  • denken an ⇒ bedenken 考える
  • steigen auf ⇒ besteigen 登る
  • fahreb auf ⇒ befahren 走る

まとめ | ドイツ語の前綴りを分析

さて、この記事では接頭辞の持つ意味について分析してきた。

今回、取り上げた例以外にも、接頭辞の持つ意味や法則のようなものは存在する。一度、自分で接頭辞について深く考えてみる機会を設けてみよう。厳格なだけでは無い、ドイツ語の柔軟性が理解できるはずだ!

なお、今回は動詞を例に接頭辞を分析してきたが名詞でも同様に接頭辞から単語の意味は推測できる。

まとめ
  1. ドイツ語の接頭辞が持つ意味にはおおよそのパターンがある。それは単語の語彙を増やすうえで助けとなる。
  2. 「einsteigen – umsteigen – aussteigen」のようにein + aus + umがひとつの動詞と結びつくことは結構多い。
  3. 接頭辞のver-とer-は動詞を形容詞化するのに使われる。

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ABOUTこの記事をかいた人

ベルリンに住むドイツ語研究が趣味のお兄さん。2009年よりベルリンに住むベルリナー、本当は名古屋出身。 通算で2年ほどドイツ語学校に通い、上級レベルにあたるドイツ語C1試験に合格済み。2年6か月の職業訓練(Ausbildung)を終えたのち、ドイツ企業で医療系ソフトウェアの開発に従事する。