ドイツ語学習初心者であれば誰もが目標とするC1試験。C1はドイツ語圏の大学に入学する際に必要とされるレベルであり、C1に合格したならば「ドイツ語が使えます!」と自信を持って言うことができるだろう。
この記事では、ドイツ語のC1試験のレベル感と勉強法、またC1試験の種類とそれぞれの特徴について解説したので参考にしてほしい。
この記事は特に以下のような人たちにお勧めする。
- ドイツへの留学を考えており、どのくらいのドイツ語能力が必要か知りたい。
- C1のドイツ語試験のそれぞれの特徴と比較を知りたい。
- なんとなくドイツ語の勉強を続けているが明確な目標を持ちたい。
なお、著者は通算で1年半ほどドイツ語学校に通ったうえで、Telc Deutsch C1に合格している。また、TestDaFは過去に受けたことがある。
では、見ていこう!
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目次
ドイツ語のC1レベルを知る
ドイツ語C1レベルの目安
まずはCEFR(ヨーロッパ共通参照枠)における「C1」がどのくらいのレベルなのか確認しよう。
なお、「CEFR(ヨーロッパ共通参照枠)」はヨーロッパ全体で使われている、英語・フランス語などを含めた外国語の習得度のガイドライン。A1・A2・B1・B2・C1・C2の6段階に分かれている。
まずゲーテ・インスティトゥートのホームページに記載されている、C1の習得度の目安を確認しよう。
- 幅広くかつ高難易度の長文を暗黙的な意味合いも含めて理解できる。
- 会話相手が気にかけるほど単語を探すことがなく、自発的かつ流暢に自己表現ができる。
- 社会生活や職業生活、あるいは研修や学習において、効果的かつ柔軟に言語を使用することができる。
- 複雑なテーマについて、構造的かつ詳細に、また明確に自己表現することができ、文章をつなぐ様々な手段を適切に用いることができる。
ドイツ語学習者の中にはC1の試験に合格することを目標としている人も少なく無いだろう。C2は教師や翻訳者といったドイツ語を専門とするプロフェッショナルのための検定といった趣が強く、C1を最終目標としてドイツ語を学習している人も多い。
C1に必要な語彙数(単語数)
次にC1のドイツ語試験に合格するために必要な語彙数について見ていきたい。
まず最初に知っておきたいのは語彙には話し・書きにおいて使用できる表現語彙と、読み・聞きのために使用できる理解語彙が存在することだ。
- 表現語彙(aktiver Wortschatz, Gebrauchswortschatz)
話し・書きにおいて使用できる語彙 - 理解語彙(passiver Wortschatz, Verstehenswortschatz)
読み・聞きにおいて使用できる語彙
C1レベルの試験に合格するために必要な語彙数はそれぞれ以下の通りである。
表現語彙 ➡ 6000語
理解語彙 ➡ 20000語
どうだろう。20000語と聞くとC1の試験が易しい試験ではないことが分かってもらえるだろう。
実際にかなりの準備期間を持ったうえでモチベーションを保ちながら継続的に学習できないとC1の試験に合格することは難しいだろう。
なお、参考までにドイツ語ネイティブの表現語彙・理解語彙数は以下の通りだ。
母国語話者の語彙数
表現語彙 ➡ 12000~16000語
理解語彙 ➡ 50000語
必要な学習期間
C1試験に合格するためにはどのくらいの学習期間が必要となるのか?
これについてはどのくらいの頻度でドイツ語の授業を受けてきたか、まだ日常的にドイツ語を使用しているかなどといった要因によって大きく変わってくる。
また言語学習は得意な人と不得意な人の間での差が非常に大きいので才能があるかどうかというの重要になってくる。
ゲーテ・インスティテュートが公開している学習時間の目安では、C1に合格するために必要な学習時間は800~1000授業時間とされている。1授業時間は45分である。
レベル | 授業時間 |
---|---|
C2 | 最低1000 |
C1 | 800~1000 |
B2 | 600~800 |
B1 | 350~650 |
A2 | 200~350 |
A1 | 80~200 |
1日3時間、週4日のコースを受講した場合で12カ月ほど掛かる計算になる。
よってC1合格に必要となる学習期間は最短でおおよそ1年間と言えるだろう。
ただし、これは1年間の間継続してドイツ語学校に通い、なおかつA1~C1までストレートにステップアップしてきた人の例である。
また、C1の試験は1度目の受験で受かる人の方が少なく、1度や2度落ちるのが普通だと考えていてほしい。
C1試験の勉強法
C1試験の対策として有効な勉強法について話しておきたい。
先の章で書いた通り、C1試験に合格するためには読む・書く・聞く・話すがどれも高いレベルでこなせる必要がある。
また、ドイツ語のC1試験は大学入学のために必要となるレベルであり、大学でのアカデミックな授業についてこれるためのドイツ語能力が試される。
リーディングを鍛える勉強法(Lesen)
C1レベルで問題になってくるのは知っている単語の語彙数。
普段から出来るだけドイツ語に触れる環境に身を置き、知らない単語は謙虚に調べるといった姿勢が重要となってくる。
読解力を鍛えるためにニュースの記事を読み翻訳するのを習慣づけたほうがいいだろう。記事を読む際は、知らない単語・曖昧な単語を調べるのはもちろん、文の構造を解析したり、慣用句を探し出す練習もするといい。
また、テーマに沿ってマインドマップを書いてみるのも語彙を増やす有効な手段だ。ひとつの単語に対して複数の類義語を知っておいたほうがいい。
リスニングを鍛える勉強法(Hören)
C1からはリスニングもさらに難しくなり、より複合的な能力が問われる。
単語を聞き取るだけでなく、文章内容を理解し、また裏に含まれた話者の感情やニュアンスを理解できなければならない。
文章内でキーとなる単語が解答の選択肢では類義語を使って表現されていることも多いため、ここでも単語の語彙数が重要となってくる。
リスニング試験では問題を開いた際に素早く問題と解答の選択肢に目を通し、聞き取りの際に意識するポイントあらかじめ確認しておくことが重要だ。
ライティングを鍛える勉強法(Schreiben)
ライティングはC1の試験を攻略するためのキーとなるセクション。
練習をすればするほど点数アップに繋がりやすいうえに、書く練習はより正確な文法の習得にも繋がるので間接的にスピーキングの練習にもなる。ライティングにはぜひ意識的に重点をおいてほしい。
C1のライティング問題は社会問題に対する自身の考えを書くといったテーマである場合が多い。出題テーマにはある程度パターンがあるので、こういう内容だったらこう答えるというのをあらかじめシミュレーションしておいたほうがいい。
また、文章の段落構成や慣用句の使いどころなど、自分の型を作ることが素早くミスの少ない文章を書くポイントとなる。
スピーキングを鍛える勉強法(Sprechen)
おそらく多くの人が不安を感じているのが、スピーキングのセクションだろう。
スピーキングの内容は試験によって大きく異なってくる。Telc Deutschが1対1のパートナーとの対話形式なのに対し、TestDaFはコンピュータが問題を読みそれに対して返事を録音するという形式だ。
試験中に文法を意識しながら話すというのは非常に難しい。試験中は相手の話した内容を正しく理解し、的を得た返答ができるように意識を集中させたほうがいい結果が得られるだろう。
C1レベルのドイツ語検定
C1レベルのドイツ語試験は数多く存在する。それぞれに異なる機関から異なる目的で試験が実施されている。
ここでは代表的なものをリストアップした。
- TestDaF(Test Deutsch als Fremdsprache)
- Goethe-Zertifikat C1
*大学入学にはGoethe-Zertikat C2が必要となるケースが多い。 - telc Deutsch C1
- telc deutsch C1 Hochschule
- DSH (Deutsche Sprachprüfung für den Hochschulzugang)
- DSDII (Deutsches Sprachdiplom Zweite Stufe)
大学入学を目的として試験を受ける人は、自分が希望する大学ではどの試験が認証されるのかを必ず事前に確認してほしい。
TestDaF (Test Deutsch als Fremdsprache)
TestDaFはTestDaF-Institutsによって実施されているドイツ語の試験である。
大学入学のため試験としてはもっとも有名な試験であり、ドイツのすべての大学で語学力証明として認証されている。
TestDaFはB2からC2までのドイツ語能力を測定するための試験であり、他のテストとは違い合格・不合格が無い。結果はTDN1~5までのレベルで表され、大学の入学にはTDN 4が必要となる。
テストは日本でも受験することが可能で、対策本やテスト対策コースも多く用意されているのが特徴。
公式ページ: https://www.testdaf.de/de
Goethe-Zertifikat C1
Goethe-Zertifikatは言わずと知れたゲーテ・インスティテュートによって運営されているドイツ語試験。A1からC2までの各レベルの試験がある。
Goethe-Zertifikatは日本でも試験を受けることができる。
Goethe-Zertifikatを大学入学のためのドイツ語能力証明として受験する場合はC2に合格しなければならない事が多いので注意が必要だ。
公式ページ: https://www.goethe.de/de/spr/kup/prf/prf/gc1.html
telc Deutsch C1
telc Deutschはドイツで試験システムを開発する公的機関「Telc」が運営するドイツ語試験。A1からC2まで各レベルの試験を行っている。
Goethe-Zertifikatと較べると若干、知名度が落ちる印象はあるが少なくともドイツ語圏の国ではしっかりと認証されている試験である。
公式ページ: https://www.telc.net/pruefungsteilnehmende/sprachpruefungen/pruefungen/detail/telc-deutsch-c1.html
telc Deutsch C1 Hochschule
telc Deutsch C1 Hochschuleはその名の通り、大学入学のためのtelc Deutschであり、多くの学校で認証されている。
telc Deutsch C1と比較するとテストの内容が大学生が必要とするようなものによりフォーカスされた感じはあるが、それほど大きな違いは無い。
DSH (Deutsche Sprachprüfung für den Hochschulzugang)
DSHは大学入学に必要となるドイツ語能力の測定を目的としておこなわれている試験。
テスト結果はDSH 1からDSH 3で評価され、大学入学にはDSH 2が必要となる。
DSHでは各大学が決められた枠組みに基づき、独自に試験を作成するので大学ごとに課題が異なることがある。
公式ページ: http://dsh.de
DSD II (Deutsches Sprachdiplom Zweite Stufe)
DSDはドイツの文部科学大臣審議会(Kultusministerkonferenz)によって実施されているドイツ語試験。
DSDにはA2/B1相当であるStufe 1とB2/C1相当であるStufe 2があり、大学入学に必要となるのはStufe 2である。
DSDに参加するにはドイツの学校で数年間ドイツ語の授業を受けたことが前提となるため、この記事の読者には関わりのない試験だろう。
公式ページ: https://www.auslandsschulwesen.de/Webs/ZfA/DE/Deutsch-lernen/DSD/DSD-II/dsd-II_node.html
どの試験を受けるべきなのか?
この章で紹介してきたように大学入学際のドイツ語能力証明として使える試験は多くある。
しかし、読者が知りたいのは「どの試験が一番簡単なのか?」という点だろう。
結論から言えばどの試験もCEFRの基準に則して作成されているのでレベルに大きな違いは無い。ただし、試験対策のしやすさや問題の出題形式に対する得意・不得意といった点で、どの試験を狙うのが効率がいいかというのはある。
著者がお勧めするのはテスト対策がしやすいという点からTestDaFだ。
最後に | ドイツ語C1検定
さて、この記事ではドイツ語C1のレベルの目安と勉強法、また、代表的な試験について紹介してきた。
著者は2年ほど前にTelc Deutsch C1を受験して合格している。C1の試験はどれも本当に難しい。試験の内容をしっかりと調べたうえで充分な準備期間を持って試験に挑んでほしい。
では、検討を祈る!
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