みんなはGoethe-Zertifikatやtelc Deutschといったドイツ語試験の名前を聞いたことがあるだろうか?これらは独検とは違い世界で通用するドイツ語の検定試験だ。
これらの試験を受けることによって自分のドイツ語能力を証明できるだけではなく、自分の得意・不得意を把握し、さらに、ドイツ語の勉強への強いモチベーションを手にすることができる。
この記事では、これらの試験のそれぞれの特徴を説明したうえで、科目ごとの攻略法を解説していこうと思う。ダイレクトに点数アップに繋がるようなアドバイスを目指して書いている。ぜひ、参考にしてほしい!
目次
B1に必要なドイツ語レベル
まずはCEFR(ヨーロッパ共通参照枠)における「B1」がどのくらいのレベルなのか確認しよう。
なお、「CEFR(ヨーロッパ共通参照枠)」はヨーロッパ全体で使われている、英語・フランス語などを含めた外国語の習得度のガイドライン。A1・A2・B1・B2・C1・C2の6段階に分かれている。
B1は日常生活に必要なレベル
まずゲーテ・インスティトゥートのホームページに記載されている、B1の習得度の目安を確認しよう。
“明瞭な通常のドイツ語であれば、仕事や趣味や生活など日常的な事柄についてのドイツ語の発言や文章が理解できます。例えば、旅行中に出会うさまざまな出来事に対して、必要な対応ができ、また、自分の経験や夢・希望・目標などについて話すことができます。さらに、自分に身近なテーマあれば、意見を述べたり、その論拠を説明したりできます。”
https://www.goethe.deより引用
おおざっぱに言えば「ドイツ語を使って日常生活が送れるレベル」と考えていいだろう。なお、B1は独検2級に該当するレベルだ。
ドイツ語学習者にとってB1の試験に合格する意義は大きい。なぜなら、日常生活に必要なドイツ語能力を、ドイツという国からオフィシャルに認めてもらうこととなるからだ。B1試験に合格することは、ビザ取得のための必要要件にも挙げられている。
必要な学習期間
次にB1の合格までに必要な学習期間を確認しておこう。
ゲーテ・インスティトゥートが発表しているB1合格に必要な学習時間は350 – 650授業時間。これは週5日・1日3時間のペースでドイツ語学校に通ったとして、おおよそ4~8ヶ月掛かる計算となる。
語学の習得スピードは個人によって大きな差があるので、一概に言うのは難しいが、個人的な経験からいえば0の状態から勉強したとしても、ドイツ語学校に6ヶ月通えばたいていの人は合格できると考えていいと思う。
なお、B1合格に必要となる語彙数はおおよそ3500語とされている。
独学でもB1は合格可能?
独学でB1合格を目指している人もいると思うので、述べておくと独学でもB1の試験に合格することは充分に可能だ。
ただし、その場合は充分な学習時間を掛けて、「読む・聞く・書く・話す」をバランスよく伸ばすことが必須だ。
B1レベルのドイツ語検定
B1のドイツ語試験には以下の3つがある。
- telc Deutsch B1 / Zertifikat Deutsch(ZD)
- Goethe-Zertifikat B1
- Deutsch-Test für Zuwanderer (DTZ)
telc Deutsch B1 / Zertifikat Deutsch(ZD)
telc Deutschはドイツで試験システムを開発する公的機関「Telc」が運営するドイツ語試験。A1からC2まで各レベルの試験を行っている。「telc Deutsch B1」は「Zertifikat Deutsch(略してZD)」とも呼ばれる。
公式ページ: Zertifikat Deutsch / telc Deutsch B1 (ドイツ語)
なお、日本ではtelc Deutschを受験することはできない。日本に住んでいる人は次に紹介する「Goethe-Zertifikat B1」を受験しよう。試験の難易度は同じだ。
Goethe-Zertifikat B1
Goethe-Zertifikatはゲーテ・インスティトゥートが運営するドイツ語試験。telcと同様にA1からC2まで各レベルの試験を行っている。東京・京都・大阪にあるゲーテ・インスティトゥートでは、試験対策コースを受講することができる。
公式ページ:Goethe-Zertifikat (日本語)
Goethe-Zertifikat B1の練習問題はコチラから。
Deutsch-Test für Zuwanderer (DTZ)
Deutsch-Test für Zuwandererは「移住者のためのドイツ語試験」という名前の通り、おもにドイツへの移住者を対象にした試験。2009年から政府の要請によって新たに設けられた試験で、こちらもGoethe-Instituteとtelcが運営している。
この試験は移民のための統合コース(Integrationskurs)への参加者を対象にしている。試験の問題は「仕事探し」「ゴミの捨て方」など、より生活に密着した内容となっている。
A2とB1を対象としているが、難易度はB1と考えたほうがいいだろう。
telc Deutsch B1の概要
ここでは、telc Deutsch B1を例に試験の概要を確認したい。
試験は大きく筆記試験(Schriftliche Prüfung)と口頭試験(Mündliche Prüfung)に分けられる。さらに筆記試験は「読解」「語彙と文法」「聴解」「文章表現」の4つに分類される。
筆記試験 (Schriftliche Prüfung) | 読解 (Leseverstehen) 語彙と文法 (Sprachbausteine) | 90分 |
聴解 (Hörverstehen) | 30分 | |
文章表現 (Schriftlicher Ausdruck) | 30分 | |
口頭試験 (Mündliche Prüfung) | 3つの課題からなる | 15分 |
筆記試験はマークシート方式。口頭試験はパートナーと2人1組で行い、試験官が基準に沿ってその場で採点をする。
筆記試験と口頭試験は休憩を挟んで同日に行われる。
telc Deutsch B1の攻略法
では、ここから各科目ごとの攻略法を解説していこう。
それぞれの科目を以下の流れで説明していくぞ!
- 各科目の問題形式
- 回答を導き出すコツ
- オススメの勉強方法
ここから先は実際の試験問題と照らし合わせながら読んでもらったほうがいい。
telc Deutsch B1の練習問題はtelcのウェブサイトから無料でダウンロードできる。
読解 Leseverstehen
最初に来るのは読解だ。読解は「Teil 1」「Teil 2」「Teil 3」の3つのパートに分けられる。
それぞれのパートへの時間配分も重要な要素となってくる。練習問題をこなして自分のやりやすい順番をあらかじめ見つけておこう。
Teil 1
Teil 1は新聞記事の見出しとテキストを読んで、正しい組み合わせを見つける問題。見出しは10題、テキストは5つからなる。ひとつの正解は5点。
Teil 1はコツを掴んでしまえば点数を稼ぎやすい。
こうする事によってテキストを読んだ際に、素早く、正確にテキストとキーワードの組み合わせを選ぶことができる。
Teil 2
Teil 2は1ページのほどのテキストを読んで5つの質問に答える問題。回答は3つの候補から選択する。Teil 2はドイツ語能力と共に国語の能力も求められる。また、ここでは引っかけに近い問題もある。ひとつの正解は5点。
Teil 2は正直むずかしい。あまり時間を掛け過ぎないように気を付けよう。
ただし、この問題ですべて正解するには、普段からの語彙を増やす努力や長文を読む練習が求められる。
Teil 3
Teil 3は10人のシチュエーションと12個の広告を読んで、マッチする広告を選択する問題。ひとつの正解は2.5点。
Teil 3はそれほど難しくはないが、注意力を求められる。
言語構造 Sprachbausteine
次に来るのは「言語構造」。文法が苦手な人にはなかなか厳しい部分だ。
この科目は「文法」と「語彙」の2つから構成される。
文法 Grammatik
これはテキストの空欄に合う単語を3つの選択肢から選択する問題。問題は10問出題される。ドイツ語の文法と文のの文脈を理解できていることが求められる。
前置詞などポイントを押させて練習しておけば、結構、点を稼げる部分でもある。以下のような初級~中級文法をいかに理解できているかがポイント。
- 名詞の性別
- 定冠詞・不定冠詞の格変化
- 人称代名詞の格変化
- 3格・4格を取る動詞
- 前置詞の使い分け
- 現在完了形の作り方 (seinとhaben)
語彙 Lexik
これはテキストの空欄に合う単語を計15個の選択肢から選択する問題。問題は10問出題される。単語の意味とテキストの文脈を理解していることが求められる。
ここで抑えておきたい単語は以下のような品詞だ。
- 結合前置詞
- 副詞
- 助動詞
- 接続詞
最初に自信を持ってあてはまるものから順に埋めていくのがポイント。
聴解 Hörverstehen
聴解ではCDから聞こえてくる文章を聞き取り、用紙に書かれた問題に答える。聴解は「Teil 1」「Teil 2」「Teil 3」の3つのパートに分けられる。B1の聴解ではすべて「正しい(+)」か「間違い(-)」の2択問題となっている。
聴解の試験中は近所の工事中の音がうるさかったり、CDが音飛びしたりするなどのトラブルがよくある。そういった場合も試験はそのまま進むことが多い。
Teil 1
5つの短いテキストを聞いて5つの質問に答える問題。質問に対してはあてはまっていれば「+」、そうでなければ「-」で答える。
Teil 2
ひとつの対話を聞いて10の質問に答える。対話の内容はインタビューであることが多い。対話は2回聞くことができる。
Teil 3
Teil 3は5つの短いテキストを聞いて5つの質問に答える問題。30秒ほどのテキストから質問に関連する情報を拾い上げよう。
テキストの内容は、電話での問い合わせや車内アナウンスなど様々。このパートはテキストを2度聞くことができる。
文章表現 Schriftlicher Ausdruck
B1の作文問題は友達からの手紙に返事を書くという内容。手紙の内容はテストの度に異なる。返事の手紙にどういった内容を含めるかは、あらかじめ指定されている。
しっかり、練習しておけば確実に点が取れる科目だ。
最初に早いスピードでラフに内容や段落構成を決めて、正書する際は文法に気を使いながら読める程度に綺麗な文字で文を書いていこう。
理想的な文章量とそのためのペース配分は何度も模擬練習をして、あらかじめ把握しておこう。
関連記事: ドイツ流を習う!手紙・メールの書き方と単語集。
口頭試験 Mündliche Prüfung
B1試験の最後は口頭試験だ。おそらく読者の多くが苦手としている部分だろう。口頭試験は3つの課題に分かれており、「自己紹介」「課題について話す」「計画を立てる」となっている。
口頭試験は約15分となっている。試験の前に20分の準備時間が用意されている。
自己紹介 Einander kennenlernen (3 min)
まずはお互いに自己紹介と簡単な質問をおこなう。自己紹介に含める内容は問題用紙にてあらかじめ指定されている。
課題について話す Über ein Thema sprechen (6 min)
あるテーマについて問題用紙にあらかじめ書かれている意見を自分の言葉で整理してパートナーに伝える。おたがいの意見を聞いた後は意見交換を行う。
計画を立てる Gemeinsam etwas planen (6 min)
口頭試験の最後の課題は、パートナーと共に計画を立てること。ここはリラックスして自然なフレーズが使えることが大切。
攻略法のまとめ
さて、科目のごとの攻略法を見てきた。最後に試験全体を通じて必要となる能力、また、それらに対する準備についてあらためてまとめておきたい。
B1の試験において、どの科目にも共通して言えるのは次のような点。
- どの科目においても鍵となってくるのは「語彙」。
- 内容を正しく表現することよりも、理解することが重視される。
- それほど「文法」は求められない。ただ、早いうちに習得しておきたい。
- 試験中は高い集中力が求められる。
これらの点を踏まえたうえでしっかりと準備をおこなおう。
最後に | 徹底攻略!ドイツ語B1試験
さて、この記事ではドイツ語B1試験とその攻略法をTelc Deutsch B1を例に解説してきた。
著者は8年ほど前にTelc Deutsch B1を受験して、運良く一回目の挑戦で合格している。今回、記事を書くにあたって改めて自分で練習問題に挑んでみたが、B1は思った以上に難しい!
試験前日までに思いつくことはすべて準備して、試験当日はリラックスした状態でベストなパフォーマンスを発揮しよう。
では、みんなの健闘を祈っている!