今回はドイツで求人に応募する際に必要なカバーレターの書き方について勉強しよう。
ドイツ語でカバーレターを書くのは、始めての人にとっては大きな挑戦であるはず。この記事を読めば、ドイツ語のカバーレターを書く上で必要な心構えとその方法がわかるはずだ。
ちなみに著者は、現在はプログラマとしてドイツのソフトウェア会社で働いていて、現在までに、インターンを含めて3つのドイツ企業で働いた経験がある。
書いたカバーレターの数は100以上、面接は20回くらいを経験している。
今回の記事は、前半で理想的なカバーレターについて定義して、後半で実際にカバーレターを書くノウハウを教えていくという構成になっているぞ。
目次
カバーレターについて
カバーレターとは?
カバーレター Anschreiben
求人の際に必要となる書類のひとつ。
自己紹介、志望動機、アピールポイントなどをA4サイズの文章にまとめたもの。
求人への応募で使うカバーレターは、モチベーションレター Motivationsschreibenとも呼ばれる。
履歴書を始めとした他の応募書類に関してはこちらの記事を見てみよう。
ドイツに合ったカバーレター
すぐれたカバーレターの定義は国によって違う。
アメリカで素晴らしいとされるカバーレターが、ドイツでも素晴らしいと評価されるとは限らない。
ドイツでは基本的に自分の経歴を”盛る”ということはしない、そして逆に謙遜し過ぎるのも良くない。
自分の過去のキャリアをよく思い返してみて、自分が一番アピールできる部分を探し出そう!
優れたカバーレターの条件
著者が考える優れたカバーレターとは以下のようなもの。
- やる気が伝わる
- まとめ方が上手
- カバーレターのフォーマットに則している
- なぜその会社のその職種を希望するのかが明確
最後の点が特に重要だ。
似たような会社が他にもたくさんあるなかで、どうしてもこの会社で働きたいという思いは採用担当者にも強く響く。カバーレターには、その会社のホームページを読まなければわからないような情報を必ず含めるようにしよう!
NGなカバーレターの条件
逆にNGなカバーレターの特徴は以下のとおり。
- 文法間違いが目立つ
- 文字数稼ぎをしているのがわかる
- ネットで見つけたテンプレートをそのまま使っている
- 他の会社に送ったものを使い回しをしているのがわかる
- 内容が矛盾している
完璧なドイツ語で書くべきか?
この記事を読んでいる人の中にはこんな心配をする人もいると思う。
「もし、誰かの助けを借りて完璧なドイツ語のカバーレターを作ってそれで面接に呼ばれたとしても、面接で自分のドイツ語能力が低いのがバレれば採用に繋がらない。むしろ、悪い印象をもたらすのでは?」
これに関しては僕自身も考えたことがあるけど、結論から言えばドイツ語能力に不安があったとしても、カバーレターは完璧なドイツ語で書くべきだ!
なぜなら、担当者が君に充分期待をしたうえで面接をしたほうが会話が弾みやすく、君が最高のパフォーマンスを発揮できる可能性が高いからだ。
カバーレターを書こう
ここからは実際にカバーレターを書いていこう。
これが例となるカバーレターだ。
これは日本の大学を卒業後にドイツに移住して、プログラマとしての求人に応募した場合を想定している。
カバーレターの構成
カバーレターは通常の以下の内容で構成される。
- 応募者・企業の情報
- 日付と場所
- タイトル
- 導入
- 本文
- 結び
- サイン
①応募者・企業の情報
自分の名前、現住所、電話番号とメールアドレスを右側に、応募する企業の名前と住所を左側に書く。
担当者の名前がわかる場合は、必ず名前を敬称と共に書く。
②日付と場所
応募する日付と場所を書く。
カバーレターを別の日に書いている場合は、応募日と同じになっているか必ずチェックをする。
③タイトル
どのポジションに応募したいのかを書こう。
求人に番号が付けられている際は番号も一緒に明記する。
④導入
導入部分は型のとおりで問題ない。
宛名
担当者の苗字がわかる場合は、ここでも必ず名前を書く。
名前と苗字のどちらが苗字かわからない場合は必ず確認をしよう。
Sehr geehrter Herr Mustermann,
担当者の名前がわからない場合は以下の文でOK。
Sehr geehrte Damen und Herren,
応募の意思表示
次にどこで求人を見たのかと、応募の意思を表明する。
mit großem Interesse habe ich Ihre Anzeige auf ... gelesen.
あなた方の***での求人広告、興味深く拝見させてもらいました。
Hiermit bewerbe ich mich um die Stelle als ...
私はここに***に応募します。
1つ目の段落の最初の文は小文字で書き出すことを忘れないように!
⑤本文
本文を書いていこう。
段落は3つか4つにまとめるのが読みやすくていい。
それぞれの段落に書く内容を考えたうえで書き始めよう!
職歴・学歴
企業にとって一番興味のある部分だ。
適切な内容で自分の経歴を魅力的に見せよう。
Letzten Monat habe ich mein 4-jähriges Studium in *** erfolgreich abgeschlossen.
先月は私は***科での4年間の大学生活を無事終了しました。
In den letzten 5 Jahren war ich beruflich tätig als ***.
私は過去5年間***として働いています。
Während meiner Arbeit bei *** bin ich in *** sehr sachkundig geworden.
***での仕事を通して私は***にとても精通するようになりました。
Durch meine jahrlange Erfahrungen im Bereich *** habe ich *** gelernt. 長い間の***における経験を通して、私は***を学びました。
適任であることのアピール
他の候補者と比較されたときに、何が自分の強みであるかを考えよう。
説得力を持った表現ができないと担当者の記憶に残ることが出来ない。
Meine beruflichen Qualifikationen entsprechen den Anforderungen Ihres Unternehmens.
私の仕事における適正はあなた方の希望に適うものです。
Mit Ihrer Unternehmensphilosophie kann ich mich sehr gut identifizieren.
あなた方の企業理念はわたしの考えと一致しています。
*** ist meine große Leidenschaft. Ich brenne dafür nicht nur beruflich, sondern auch privat.
私は***には強い情熱を傾けています。それは仕事としてだけではなく、プライベートにおいてもです。
ソフトスキルのアピール
近年では応募者のソフトスキルを重要視して選考する会社も多い。
カバーレターの中に一箇所は自分のキャラクターの長所をアピールする文を入れよう。
Zu meinen Stärken zählen ***
私の長所には***を挙げれます。
Mein Charakter zeichnet sich durch *** aus
私の気質には***が当てはまります。
Ich besitze neben ***, auch ***
私は***に加え***を兼ね備えています。
*** zu arbeiten ist für mich selbverständlich.
***のように働くことは私にとって当たり前のことです。
主なソフトスキルにはいかのようなものがある。
理解力 | f Auffassungsgabe |
コミュニケーション能力 | f Kommunikationsfähigkeit |
自発性 | f Eigeninitiative |
柔軟性 | f Flexibilität |
自己管理 | f Selbstdisziplin |
責任感 | n Verantwortungsbewusstsein |
信頼性 | f Zuverlässigkeit |
自分の希望
ドイツでは自分の希望をしっかりと伝えることも、プラス評価に繋がりやすい。現実的な範囲で自分の希望は書いておこう。
Ihre familenfreundlichen Arbeitsbedingungen sehr zu schätzen. わたしはあなた方の家族に優しい就労条件に期待しています。
Bezüglich des Einsatzsortes bin ich flexibel. 勤務地に関してはあなた方の要望に合わせることができます。
Als Einstiegsgehalt finde ich *** angemesssen.
最初の給与としては***が適当だと思います。
⑥結び
文章の締めの部分だ。
この求人に対する熱意をもう一度記そう。
Ich freue mich über auf die Gelegenheit, Sie persönlich kennenzulernen.
私は面接にてあなた方と直に知り合えることを楽しみにしています。
Von meinen Fähigkeiten und meiner Motivation überzeuge ich Sie gerne in einem persönlichen Gespräch.
私は面接において能力とモチベーションを証明することができます。
締めの挨拶はいかのとおりで問題ない。
Mit freundlichen Grüßen
⑦サイン
サインは手書きで書いたものをスキャナーで取り込み、Wordファイル上で配置しよう。
カバーレターに関連する単語
構成 | m Aufbau |
内容 | m Inhalt |
テンプレート | n Muster |
レターヘッド | m Briefkopf |
タイトル | f Überschrift |
導入 | f Einleitung |
本文 | m Hauptteil |
結び | m Schluss |
サイン | f Unterschrift |
カバーレターをチェックする
カバーレターを書いたら、文章を内容面と文法面からチェックしよう。
カバーレターのチェックポイント
- 自分の強みがアピールできているか?
- 求められている人材像とアピールポイントがかけ離れていないか?
- 書いてある内容に具体性はあるか?
- 文字数稼ぎをしていないか?
- ひとつの文が長過ぎないか?
- 文の書き出しがいつもichになってないか?
- 受動態の文を使っていないか?
ネイティブスピーカーのチェック
出来上がったカバーレターは自分で文章を見直したうえで、ネイティブスピーカーにもチェックしてもらおう。
周りに頼める友人が居ない人は、Volkshochschule(ドイツの公共学習機関)でBewerbungskurs(履歴書やカバーレターの書き方、面接のコツなどを教えてもらえる)を受けることを検討してみよう。
最後に
今回の記事では、理想的なカバーレターについて書いてきたけど、すべての人に当てはまる最強のカバーレターというのは存在しない。カバーレターを読む人の性格や企業の求めている人材像などによって、カバーレターの評価は大きく変わってくる。
ドイツ語の求人に応募しようとしている人であれば、ある程度のドイツ語能力(B2が目安)はすでに備わっているはず。
まだ、カバーレターに関してドイツ語で調べたことがないは、一度「motivationsschreiben tipps」といったキーワードで検索してみよう。
では、読者のみんなの仕事探しの成功を心から祈っているぞ!